ミニミニ映像大賞 ワークショップ レポート

6月24日(金)野々市町情報交流館カメリアにて「第9回 NHKミニミニ映像大賞 ワークショップ」が開催されました。

当日は時折強い雨が降る悪天候にもかかわらず、石川県内外より、中学生から年配の方まで約50名の方に参加いただきました。

講師はNHK広報局 リッキー竜太オコーネル氏、キャッチコピーを作ったり、番組宣伝フィルムを制作している方です。

※リッキー氏のご厚意により、当日使用した資料がダウンロードできます。
本ページ最後部の、フォームよりご請求ください。
(ご応募は6月24日 野々市での参加者に限らせていただきますことご了承ください)

===下記、講義内容を簡単にまとめたものです===

【解説】「CF(コマーシャルフィルム)」とは?
1 明確なテーマがある
2 観客を具体的な行動、感情に
3 最初のカットでトーンが決まる
4 (長編ドラマとは)構造(構成)が異なる
5 (長編とは)フレームの概念が異なる
6 バックストーリーは示せない
そして長編と短編の一番の違いはCMには「雰囲気」や「間」を使って、観客の感情をゆっくりと誘導する時間がないことです。 観客を一瞬で引きつけるためには、アイディア(企画)が重要になります。

【解説】映像制作の大きな流れは
1 企画
2 撮影準備→撮影
3 編集
4 試写→完成
今回のワークショップでは、「企画」「撮影準備」「撮影」を中心に解説いただきました。

まずは、「アイディア」って何?ということで、受講者に「アイディア」の定義を質問。リッキーさんいわく、「アイディアとは問題を解決するための「なるほど!」」のこと。

【演習問題 1】
アイディアを創造するための手法として「9マス」を使ってみます。縦横3マスの格子の中央にキーワード「応援」と書き、その周りに「応援」から連想される言葉を書いてみました。

書き終わったら、その紙を、周りの人と交換、自分が思いもつかなかった言葉にマルをつけます。それを各自、ホワイトボードに書きつけたのがこちらです。

今回は参加者全員の脳を使ってこれだけの「発想」を得られましたが、プロは一人でこのこれくらい出すそうです。

【演習問題 2】
上記で出たキーワードから2つ、はじめ「夜食」と終わり「FAX」に使い、5コマのコンテをつくります。「応援」という単語からだけでは作れないストーリを紡ぎだす練習となりました。

リッキーさんいわく、自分の中に無いものは決して出てこない。好奇心、読書、映画、観察、会話などから、100のインプットがあって、はじめて1のアウトプットが出るということです。ちなみにリッキーさんは、年間映画を約100本鑑賞し、本を約365冊読まれるそうです。

【解説】アイディアをより膨らませる手法 SCAMPER (スキャンパー)
・Substitute 入れ替える/置き換える/やり方を変える
・Combine 組み合わせる
・Adapt 応用する
・Modify 変形/大きく/小さく/回数
・Purpose 他の用途/新しい使用目的
・Eliminate 削る/要素を減らす
・Reverse 反転/反対

たとえば、今回のミニミニ映像大賞、テーマは「応援」。募集しているのは「応援」の映像。ですが、「応援している映像」だけとは限りません。
応援とは何か?応援する、応援されるというのはどういうことなのか。自分はどう考えているのか?一番伝えたいことは何なのか?それを見つける作業が「企画」です。自分が言いたいことがはっきりとしていれば、どんな材料でも、企画に結びつけることができるとのこと。自分の中にあるものを深く、深く掘り下げ、連想していく作業が大切なんですね。

(休憩をはさみ後半へ)

「撮影準備」の段階では、どのような映像をどんな順番でみせるか?それを撮影前に決めておくことが重要です。それが「画コンテ」です。何を伝えるのかを、作り手自身が理解するために必要なものです。その後、「映像の設計」です。「画面から伝えるもの」「画面から伝わるもの」を検討します。

季節は春の午前中、一人暮らしの女子大生。実は一軒家のリビングを使い、深夜に撮影しています。
「まんま」で撮るのではなく、「らしさ」を考え、出来る範囲で舞台を創ることが重要です。それが、映像としてのレベルを上げることに繋がります。

【解説】映像の基本文法
1 サイズ
・ロングショット 状況説明
・フルショット 人の動きを見せる
・バストショット 安定感のある映像
・クローズアップ ドラマチック、衝撃
2 カメラポジション
・ハイポジション 二つの意味を持つ 広い:ゆったり感  狭い:冷たいかんじ
・アイレベル 日常、リアル、安定
・ローポジション 個性、自己主張
3 アングル
・ハイアングル 被写体を小さく、弱くする
・アイレベル 安定する。リアルな感じ。
・ローアングル 迫力が出る、あおり。
4 トラベリング
画面の中が動くだけでなく、画面(カメラ)そのものも動く。
観ている人の視点を動かす。
・パン 左右に動く 広さを見せる、動きを見せる。 左→右が基本
・ティルト 上下に動く UPは希望、未来、広がり DOWNは終末、落ち着き
・ズーム 視点を誘導する IN:見せたいものに  OUT:状況を説明
画面が動くことで、ダイナミックな感情の変化が生まれる
※注意! 基本は固定 意味無く動かさない ズームは多用しない

【解説】カメラ遣い上達のコツ
1.全て同じポジション/同じアングルのカットで作品を作ってみると、ポジションやアングルの意味や効果、自分の好みが良く判ります。
2.自分がいいなと思った映画やドラマ、CMなどの、好きなシーンや好きなカットをまねて、そっくり同じように作ってみるのもおすすめです。

【演習問題 3】
サイズ、カメラポジション、アングルを考えて、実際に絵コンテを描いてみます。
場面は港、時間は夕方 状況は「ケンカをしている男と女」
女「さようなら」
男「・・・(無言)」
女は車に乗り込み、走り去っていく。男はじっと見ている。

リッキー氏の作例

1
3
5
2
4
6-1
6-2

1.女性が男性をひっぱたく(ケンカをしている)
2.高い位置から全体を見せ、港であること、影を長くし夕方であることを表現する
3.「さようなら」女性は後ろ姿、男性(主演)の顔が見える(1コマ目と同じポジション)
4.男性の沈黙をタバコで表現 カメラは男の横に回り込む
5.カメラはさらに回り込み、男の後ろ姿 クルマに乗り込む女
6-1.男性の後ろ姿 走り去る車 6-2クレーンでズームアップしてゆく
4コマ目、男の横顔を入れるのは、3→5へのカメラ位置の変化をスムーズに見せるため
1と3はワンカット、5~6はワンカットで撮れる。
予算と時間に応じて配置物を変更する。
港のシーンだからといって「カモメ」をコンテに入れたりすると、大変!(カモメさんは人の言うことを聞いてくれないから)

プロとアマチュアの差は、画面をコントロールできるかがポイント。プロは、必要なものは必ず入れ、不要なものは必ずはずすとのこと。基本的に「偶然」は無い!そうです。

最後に、編集について。同じ演技、同じ素材を使っても、編集で意味を変えることができます。作例では、女の子が、携帯を耳から離すシーン、携帯を見つめるシーンをちょっと長くすることで、「また明日ね」から、「しばらく会えないね」と、伝わる意図が変わってきます。

以上 ワークショップの内容を簡単に紹介しました。

この後もリッキーさんは参加者と活発な質疑応答をされていました。盛りだくさんな内容に、参加された皆さんも大変満足された様子でした。

参加された方からは「映像制作のポイントが判った」「すぐに作品を作りたくなった」との声が聞かれました。

参加いただいた皆さま、講師のリッキー竜太オコーネルさん、本当にありがとうございました。

今回参加の方も、そうでない方も、どんどん作品を作って、ミニミニ映像大賞に応募してみませんか?
第9回 NHKミニミニ映像大賞 ホームページは こちら です

 

今回はHPのみならず、ツイッターやフェイスブックでこのワークショップを知ったという方がちらほら。今後も情報交流館カメリアでは、新しいメディアも活用しながら情報発信していきたいと思います。

アンケートよりワークショップの感想を一部ご紹介します

・演出の意味に色々な工夫があるのだと実感した。これから映像を見る目(視点)が少し変わる気がしました。勉強になりました。(10代 男性)
・ただ映像を作るだけでなく、一番伝えたいことを固めなければ進まないと思った。(10代 女性)
・社会人になってからこの様な機会が減っていたので、久々に映像に関して触れられてよかったです。(20代 女性)
・アイディアの出し方や画コンテの具体的な考え方、カメラワーク等、どれもがとてもわかりやすく、納得のできるお話だった。今後も機会があれば是非参加したい。今まで知らなかったことをたくさん教えていただいてよかった。(20代 男性)
・撮影、編集のことについて普段やっていても、改めて違う立場の方の解説を受けることができました。(50代 男性)
・働いている人達が実際に使っているアイディアを出す方法や撮影方法を学ぶことができてよかった。(10代 男性)
・アイディアの創出についてためになった。ユーストリームなどで生配信するとおもしろいかも。(20代 男性)
・今流行している撮り方を教えてもらえて大変満足した。とてもおもしろい説明だった。来年も来ます。(10代 男性)
・今まで自分がつくっていた作品とかも、どこを、どのように良くすれば良いのか、いまいちわからなかったが、良い画をとるための方法が聞けてよかった。(10代 男性)
・一つの動画で色んな工夫をすることでこんなに違うものだったのか?と感じました。また、撮影するシーンのコマ撮りなど、一つとってもプロとアマの違いがひしひしと感じられた。(30代 男性)
・すべてにおいて新鮮だった。オドロキの連続。大変知識になった。また開催してほしい。もっと長い時間。(30代 男性)
・企画から、カメラのまわしかたまで詳しく話していただき今日はいろいろ勉強になりました。ありがとうございました。(10代 男性)
・カメラの位置、方法の少しの違いでの作品の出来方が異なることがわかった。映像編集に関する講座をさらに受けたい。(60代 男性)
・ただ単に講義を聞くだけではなく、実際に参加する形が面白くて満足した。(10代 男性)
・話を聞くだけでなく、自分で考える時間があったので、より集中できた。実際に映像を撮ってみたいと思った。(10代 男性)
・視点を変えることや発想法等、映像に対する考え方を学び、刺激を受けることができました。3DやCGの講座も受けてみたい。(50代 女性)
・内容が濃かった。話が分かりやすかった。今後もグラフィックデザインや写真の講座等があれば受けたい。(20代 女性)
・たくさんの方たちの発想が聞けて楽しかった。今日の講座素晴らしいです。ありがとうございました。(60代 女性)
・体験型のワークショップで面白かった。考えるのが楽しかった。(10代 女性)
・映像のいろはを教えていただいた。(10代 女性)
・絵を描くのが楽しかった。(10代 男性)
・話を聞くだけでなく参加できたのは面白かった。内容の全てが自分のタメになると思う。(10代 男性)
・ブレーンストーミングによる考えの展開・応用について参考になった。固定の発想を捨てる、映像の文法についての理解に繋がった。撮影技法や映像の構成、ライティング、音声・効果、編集などの講座も受けたい。(60代 男性)
・映像をつくりこむ面白さに気付くことができた(30代 女性)
・もっと長いといいですね。思っていたより具体的な内容で面白かったです。実際のカメラワークや編集、ソフトの使い方も聞きたいです。(30代 女性)
・映像に詳しくない私でも、わかりやすい説明でした。(10代 女性)
・プロの方がどのように映像を作っているのか、すごく分かりやすかったです。今後も映像に関するワークショップを開催してほしい。(20代 女性)
・アイデア発想の着眼点を知ることができた。(60代 男性)


第9回 NHKミニミニ映像大賞 ワークショップ 資料請求フォーム

下記フォームよりお申込みください。
折り返し、カメリア担当よりダウンロードURLを記したメールを送付いたします。
(返信に1~2日、かかる場合がありますこと、ご了承ください)
なお、ご請求は、6月24日(金) NHKミニミニ映像大賞 ワークショップ 参加者に限らせていただきます。
また、資料の一部又は全部の転載、再配布は固くお断りいたします。

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ミニミニ映像大賞 ワークショップ レポート への2件のフィードバック

  1. Cana のコメント:

    ワークショップ参加させていただきました。
    詳しいレポートで驚いてます。
    このレポートのおかげで、講座の内容をよく思い出すことができました。
    ありがとうございました。

  2. カメリアスタッフ のコメント:

    Canaさま

    コメントありがとうございます。
    私もレポートをまとめていると、改めて、リッキーさんの伝えたかったこと、映像制作の面白さを感じられたように思いました。
    今後もカメリアでは映像制作に関するイベントや、映像の素材となるようなイベントを開催して行きますので、ぜひご参加ください。

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