コズミックカレッジ in 野々市 開催されました。

宇宙の不思議、科学の楽しさ、創作のおもしろさに触れ、こどもたちの科学的なものの見方、考え方を深めることを目的にJAXA宇宙航空研究開発機構と共同で実施するプログラムコズミックカレッジ in 野々市が、2014年12月21日(日)に開催されました。野々市市誕生記念として2011年に初開催してから、早4年。野々市市でのコズミックカレッジは今回で6回目をかぞえます。

 

午前中はキッズコース(小学1~3年生対象)、テーマは「不思議な飛ぶ種をつくろう!」。
宇宙へ行くためには空を飛ばなければならない。そのために人は気球、飛行機、ロケットと発明してきました。
しかし、地球上には人や鳥類、昆虫など以外にも空を飛ぶものがあります。そう、「植物の種」です。飛ぶ種の不思議を体験し、飛ぶことの原点を探ります。
今回は「アルソミトラ」(ウリ科の植物で熟して割れた果実からグライダー状の羽を付けた種子を飛散させる)、「ラワン」(フタバガキ科の植物で、はねつきの羽根のような形の種子をヘリコプターのように回転させながら落下させる)のモデルを作成しました。

本物の植物の種がどのように「飛ぶ」のか、今回は宇宙教育リーダーの平田先生が持ってきてくれた「ニワウルシ」の種をみんなで飛ばして(落として)、クルクル回るさまを観察しました。(写真左下)
 
こちらは岡本先生が作った「アルソミトラ」のモデル。グライダーのように滑空します(写真右上)。

いよいよみんなで工作開始、素材は薄い発泡スチロールです。
「自由な発想で作ってみましょう」
 

「アルソミトラ」モデルは頭の高さから何度も飛ばして、良く飛ぶ形を、
 
 

「ラワン」モデルは簡易風洞(風を下からあてる機械)を使い、きれいに回る羽根の形をそれぞれ工夫しました。
  
 
こどもたちが自らモデルを飛ばし、改良する過程で「ただ羽が大きいだけでは重くてすぐ落ちる」ことや、「おもりをつける位置でよりスムーズに飛ばせる」ことなど、「揚力」や「重心」について(言葉を使わずに)体感してもらえたのではと思います。

最後に人が初めて空を飛んだ乗り物「気球」を飛ばす実験です。
 
 
高さ約2mの気球に、二つのドライヤーで温風を吹き込むと、1分もしないうちに浮いてゆきます。「5、4、3、2、1」のカウントダウンでカメリアの天井めがけて飛んでゆきました。

授業の締めくくりに岡本先生からのお話。
「中学校3年生が終わるまでに、おおっきな夢を見つけてください」
「お父さん、お母さんも『それは無理だわ』とかぜったいに言わないでください」
「夢を持てば、立派な大人になれます、みんなわかったかな?がんばれるかな?」
みんなの手が上がりました。

 

午後からはファンダメンタルコース(小4~中学3年生対象)、テーマは「宇宙飛行士にチャレンジ」

最初に「真空」について。ガラス容器の中の空気を抜いてゆき、風船が膨らんだり、常温の水が沸騰したりする様子を観察しました。
 
 
膨らむマシュマロを見て「宇宙はお得」といった子も。
生身の人間が宇宙(真空)に放り出されたら、体液は沸騰し、肺は破裂してしまう、つまりあっさり死んでしまうとても危険な場所だということを学びました。

その危険な宇宙で生きていくには何が必要なのか?
一番大切なのは「仲間」とのコミュニケーション、初めに「地上」と「宇宙」での会話を英語でする練習をしました(写真左下)。
 
次に「言葉の指示」を正確に受ける練習。方眼紙に「右に3、上に12」と聞いたとおりポイントを打ち、それを繋げた文字を読むというもの(写真右上)。
これは1970年、アポロ13号がトラブルに見舞われた際、実際に起こった出来事を再現したもの。
補修に必要な部品を(ありあわせのボール紙とビニール袋で)作る手順を地上管制官たちが「口頭」で伝え、その指示だけで宇宙飛行士たちが部品を作り上げ、危機を脱したのです。

「ファンダメンタルコース」ではお馴染みとなっている「ホワイトパズル」。
 
実際の宇宙飛行士試験にも採用されているもので、集中力と忍耐強さが求められます。

さて「宇宙飛行士体験」の前に工作タイム。顔をすっぽり覆うヘルメットを作成。
 
特撮ヒーローみたいでナカナカかっこ良いです。

ここからが本番、自作のヘルメットをかぶり、胸には宇宙服の操作装置を模したパネルをぶら下げます。
そして腕には手鏡を装着。
 
ヘルメットを付けた状態では胸の操作パネルは良く見えません。そこで腕に付けた手鏡に胸を映して操作するのです(そのため、操作盤に描かれた文字は反転文字になっています)。

この他にも、真空に近い状態のガラス鉢のなかでものを掴む体験や、厚いグローブをしたまま水筒のキャップを付け外ししたりして、宇宙での活動がとても困難であることを体験しました。
 
 

ファンダメンタルコースでも最後に岡本先生からのお話です。
宇宙飛行士を目指していた頃の体験、
「筆記試験は英語、算数、理科、コンピュータなどいろいろ、そして心理テストや精神科医面接、体力テストもあります。」
「宇宙飛行士となった星出さんとは同期生。僕は必至でがんばっていろんな数値で一等賞をとっていたので、みんなから『キング』と呼ばれてました。」
「二次試験で不採用となってしまい悔し涙を流したけれど、宇宙が好きだから、宇宙で実験をしよう、と新しい目標をたてました。」
そして現在はJAXAと国際宇宙ステーションで共同研究を行っているそうです。
「今やっている研究は『透明人間』、これSFの話じゃないんですよ、実際にできることなんです。」
「僕は5歳の頃から45年間、夢を追いかけてここまできた、だからみんなも中学を卒業するまでに、夢を、何回失敗してもあきらめない、そんな夢を持ってほしい。」

キッズ、ファンダメンタルコースとも約2時間という限られた時間の中でたくさんの体験をした子どもたち、科学のおもしろさと「夢を持つ」ことの大切さを学んでもらえたのではと思います。

講師 馬渕正展氏 自由が丘サイエンスキッズ コーディネーター
   岡本 茂氏 名古屋工業大学 准教授

主催 (公財)野々市市情報文化振興財団
   宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙教育センター

協力 金沢工業大学天文部
   宇宙教育リーダーの皆さん

※最後に、参加したみなさんの感想の一部をご紹介します。

☆キッズコース(保護者が回答)
★感想
・子供が楽しく考え、物を作っていたので良かったと思う。
・空を飛ぶということをいろんな視点から学習できてよかったです。
・自分で作った作品を飛ばすことができ、子ども達は楽しそうでした。たくさんの方にお世話になり、ありがとうございました。
・自分で作って、それが成功したり、次はこうしたらどうなるかな?など考えたり、という体験が出来た。ほかのお友達がどうしているかを見て参考にするも勉強になってたと思う。
・自分で考え、工夫できる点がとてもよかった。
・子ども達の笑顔が見られた。
・子どもが飛ぶ仕組みを知れたと言っており、とてもよかった。岡本先生の話がとてもすばらしかったです。
・子供が楽しそうに色々作っていた。何度も試行錯誤できたのがよかった。
・種作りも楽しかったのですが、最後の先生の夢の話がとても良かったです。子供が大きな夢をもって、それをちゃんと応援できる親になりたいです。
・子供に色々な体験をさせてあげる事ができた。夢を持つ大切さ、非常に良かったと思います。

★今後のコズミックカレッジに求めること
・羽ばたいて飛ぶものを、こどもが実際に作ってみたいようです。
・これからも楽しいコズミックカレッジを期待します。
・自分で考えてやってみるということ。
・普段あまり体験できないような不思議なこと。学校にも家にもないドキドキワクワク感
・宇宙についての話しや実験等、もっと長く体験できるといいと思いました。1時間半はあっという間でした。
・宇宙のしくみを知りたいです。テレポーテーションや光学迷彩などのことも聞いてみたい。子供たちも興奮すると思う。
・宇宙や科学に親しむきっかけを日常的な物を使って楽しみながら学べたらと思います。
・子供の将来の夢を広げるきっかけになることをしてくれたらうれしいです。今日はありがとうございました。
・このような体験は、なかなか自分で教えてあげる事が難しいので、もっともっと企画してほしいです。先生のお話、とても良かったです。
・宇宙に興味をもっと持てるような話。成り立ち、相対性理論等。
・定期的にたくさんのイベントして下さると嬉しいです。抽選に落ちることも多いので、たくさんの人が参加できると良いと思います。
・子供が興味を持ちそうで、かつ今まで経験したことがないようなものの実習。難しいとは思いますが、楽しみにしています。

☆ファンダメンタルコース(子どもが回答)
★感想
・宇宙のことを知れた。
・ヘルメットやいろんなものがたいけんできて楽しかった。
・普段分からないようなことが分かったし、とても楽しかったからです。
・宇宙に行った時のことやコミュニケーションなどのおもしろことができた。
・手袋の体験が楽しかった。
・説明がわかりやすかった。
・岡本先生の体験談が心に残った。
・なかなか体験できないことができてとてもよかった。
・いろいろの体験ができて、おもしろかったです。
・大切なこと、やらないといけないことが知れた。最後の岡本先生の話がよかったです。

★これからのコズミックでやってみたいこと
・宇宙食を食べてみたい
・宇宙のことと、どうやっていたら暮らせるかの話を聞きたい
・宇宙服の服やズボンを作りたいです
・宇宙服を着たい
・無重力体験、本物の宇宙服体験、宇宙食
・白いパズルを完成させるところまでやりたいです。
・もっと宇宙を知りたいです。テレポーテーションを見たいです。
・宇宙のしくみ
・無重力で物を浮かせてみること
・地球はどうやってできたか、など

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